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3分でわかるシエラレオネ紹介シリーズ「子どもの権利条約編」Vol.15

2022年11月7日

NPO法人アラジを日ごろ支えてくださっている皆様、誠にありがとうございます。私たちNPO法人アラジは、シエラレオネ共和国において、困難な立場に置かれている子どもや大人たちへ、様々な支援事業を日々実施しています。

今月も、支援者の皆様に、3分でわかるシエラレオネ紹介をお届けします。

1. 子どもの権利条約

子どもの権利条約とは、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。

18歳未満の子どもが権利の主体であり、おとなと同様にひとりの人間としての人権を認めています。

シエラレオネでは、1990年に子どもの権利条約が批准され、2007年に子どもの権利法『The Child Rights Act』ができました。

全体の3割の子どもが児童労働に従事するシエラレオネですが、子どもの雇用について、子どもの権利法においては以下のように定められています。

第8章 子どもの雇用

125条:フルタイムで雇用できるのは義務教育終了年齢の15歳から

126条:20時~6時までの夜間労働の禁止

127条:子どもの健康や発達、あるいは就学に影響を与えない「軽労働」に従事できる最少年齢は13歳とする

128条:健康や安全、道徳に危害を及ぼす恐れのある危険な労働は18歳から(航海、採掘、化学物質や機械を用いる工場など)

2. 世界における児童労働の現状

ILOが2020年に発表した『Child Labour: Global estimates 2020』によると現在、全世界では1億6,000万人の子ども(5歳~17歳)が児童労働に従事しています。これは、全世界の子どもの10人に1人という割合です。

コロナ禍の影響により、2016年~2020年の4年間で児童労働は800万人増加し、最悪の形態の児童労働では650万人増加しました。

「最悪の形態の児童労働」とは、人身取引や債務労働、児童買春や鉱山労働などの、子どもの健康や安全、道徳を損なうおそれのある危険な労働を指します。

世界の児童労働の傾向をみると、アジア太平洋・ラテンアメリカ・カリブ地域での児童労働は減少傾向ですが、サブサハラアフリカ地域では、2021年以降増加傾向にあります。

また、男児の方が従事率が高い傾向にあり、女児との差は3,400万人にも上ります。しかし、家事労働を含めると割合は半分になるため、女児はより家庭内での労働に従事している傾向があると言えます。

さらに、児童労働は都市部より農村部で起こっています。児童労働の多くは家族運営の農場や零細企業で発生しているため、子どもにとって安全な環境が整っていると思われがちですが、実際は危険な場合も多いです。

参考データ

3. 児童労働による子どもへの影響

児童労働は、子どもの教育に最も大きな影響を与えています。

5歳~11歳の4人に1人、12歳~14歳の3人に1人が学校に通えておらず、15歳~17歳においては未就学率が50%を超えています。

そのため成人後の就職にも影響が及び、成人してもまともな職に就けないため貧困の連鎖に繋がります。

さらにパンデミックにより貧困はさらに加速し、子どもの労働の収益に頼らざるをえない状況が続いています。

シエラレオネのみならず、世界中の子どもたちが毎日学校に通えるために、児童労働の根絶は早急に解決すべき課題となっています。

いかがでしたでしょうか?

また、来月も、シエラレオネ3分紹介シリーズをお届けしていきます!

3分でわかるシエラレオネ紹介♪編集

下里夢美

橋本真碧

アラジのサポーターになりませんか?

シエラレオネの男女間教育格差は、上記のような中絶の禁止だけが要因となっているのではありません。手に入らない避妊具、性教育の不足、性暴力など、その要因は多岐にわたり、約1.7割の10代の女の子がシングルマザーになることで、初等・中等教育の機会や、その後の夢への進路を失っていると言われています。

シエラレオネで8年間に渡り、教育支援活動を続けている私たちアラジは、シングルマザーの復学支援の他にも、3つのプログラムで、20,700名の子ども達への新たなアプローチを目指しています。アラジの仲間になっていただけませんか?

アラジでは、毎月500円から寄付していただく、マンスリーサポーターを新たに募集中です。サポーターだけの5つの特典も、ぜひご覧ください。

「誰もが夢に向かって努力できる社会」の実現を一緒に目指していきましょう。

ご寄付はこちら

(投稿)インターン 橋本真碧

3分でわかるシエラレオネ紹介シリーズ「人工妊娠中絶法編」Vol.14

2022年9月8日

NPO法人アラジを日ごろ支えてくださっている皆様、誠にありがとうございます。私たちNPO法人アラジは、シエラレオネ共和国において、困難な立場に置かれている子どもや大人たちへ、様々な支援事業を日々実施しています。

今月も、支援者の皆様に、3分でわかるシエラレオネ紹介をお届けします。

1. 人工妊娠中絶法

妊娠中絶とは、妊娠20週目以前に妊娠を終了させることとWHOは定義しています。

また、日本の母体保護法では、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその付属物を母体外に排出すること」と人工妊娠中絶を定義しています。

多くの国で女性の権利として認められている一方で、法律上認められていない、あるいは厳しい条件下でのみ許されている国も少なくありません。

2022年6月に、アメリカで長年女性の権利として憲法上認められてきた人工妊娠中絶に関して、米連邦最高裁で判断が覆されたニュースもあったことから、近年の動向に関心がある方も多いかもしれません。

例外を一切認めない一部の国を除き、一般的に以下のようなことが言えます。

先進諸国では母体のリスクがあるときだけでなく、経済的・社会的理由や母親の要望に応じて行われる場合が多いのに対し、途上国や宗教的影響の強い国では、身体の健康が理由であっても、ましてや強姦の場合であっても中絶の権利が認められないことが普通とされています。

参考データ

2. シエラレオネの現状

シエラレオネでは、一般的に中絶基準が厳しいアフリカ諸国の中でも、特に厳しい基準を設けている国です。

そして、母体のリスク以外での中絶が認められていないがために、安全でない中絶を選ばざるを得なくなり、最悪の場合死亡するケースも多くあります。事実、シエラレオネの妊産婦死亡率は、10万人あたり約1,000名、その1割は危険な中絶(大量の抗生剤や麻薬を摂取)によるものというデータがあります。

この「産まざるを得ない状況」により、経済的基盤が不安定なままシングルマザーになり、男性側の支援も受けられず、自身の教育を諦めなければならない女性が後を絶ちません。

もし復学の機会を得たとしても、いじめや陰口と言った社会的なスティグマに苛まれ、結局彼女たちは孤立してしまうことになるのです。

3. より良い中絶環境に向けて

シエラレオネ、そして世界中で女性が人工中絶の権利を得るために、国際機関や国レベルでのアプローチが必要になります。実際にWHOは2022年3月に中絶に関する新たなガイドラインを策定し、女性の意思決定の尊重・医学的に不要な条件などを排除する方針を推奨しています。

しかしそれだけではなく、有効な避妊方法の普及活動や男性側の意識改革といった草の根レベルでの活動も必要ではないでしょうか。

実際にアラジでも、男子中高生を対象とした性教育プログラム「ハズバンドスクール」を通して、女性の権利・教育の重要性を男性側に知ってもらう活動を行っています。

人工妊娠中絶は、女性だけの問題ではないという意識がシエラレオネだけでなく、世界中に広まることを願ってやみません。

いかがでしたでしょうか?

また、来月も、シエラレオネ3分紹介シリーズをお届けしていきます!

3分でわかるシエラレオネ紹介♪編集

下里夢美

西村郁哉

アラジのサポーターになりませんか?

シエラレオネの男女間教育格差は、上記のような中絶の禁止だけが要因となっているのではありません。手に入らない避妊具、性教育の不足、性暴力など、その要因は多岐にわたり、約1.7割の10代の女の子がシングルマザーになることで、初等・中等教育の機会や、その後の夢への進路を失っていると言われています。

シエラレオネで8年間に渡り、教育支援活動を続けている私たちアラジは、シングルマザーの復学支援の他にも、3つのプログラムで、20,700名の子ども達への新たなアプローチを目指しています。アラジの仲間になっていただけませんか?

アラジでは、毎月500円から寄付していただく、マンスリーサポーターを新たに募集中です。サポーターだけの5つの特典も、ぜひご覧ください。

「誰もが夢に向かって努力できる社会」の実現を一緒に目指していきましょう。

ご寄付はこちら

(投稿)インターン 西村郁哉