こんにちは、代表理事の下里夢美です。
2024年1月12日(金)に成田空港を出発し、8度目のシエラレオネ現地出張に行ってまいりました。今回のHPでの活動報告記事では、3回に分けて現地シエラレオネでの活動の進捗や成果をご報告いたします。
約1年ぶりに再会した現地法人JaSiLe Foundationの現地スタッフの様子です!
左から下里/ピディーア/ファティマタ/アマラ
私たちは2021年初め頃に、シエラレオネ共和国における『妊娠した女子の復学禁止令』の撤廃後、10代でシングルマザーとなってしまった女の子が、精神的・経済的理由で自力では学校に戻れない現状を知り、すぐに現金給付や転校支援をベースとした「10代シングルマザー復学支援」をスタートさせました。
私たちのサポートで復学する10代シングルマザーの女の子の様子
「10代シングルマザー復学支援」では、現在60名以上の女の子の復学を実現してきました。しかし、予期せぬ妊娠や性犯罪を防ぎ、誰もが夢に向かって勉強し努力できる社会の実現にはまだほど遠いのが現状です。そこで、2022年から新たに性教育を実施しています。
この度、以前に4p程度の内容であった性教育プログラムの教科書を、ユネスコの掲げる『国際セクシャリティガイダンス』に沿った、リプロダクティブヘルス・ライツを含む8pの内容に改訂しました。
さらに、性教育実施前と実施後のアンケート結果に基づき、「性的同意」に関しての理解度が低かったことから、性的同意を含めた教科書に改訂しています。
また、教科書に、性加害を受けた際の緊急連絡先として地元警察の『Family Support Unit』の電話番号を掲載しています。
以前より警察署の皆さんとも連携し、教科書作成にご協力いただいています。
地元警察署での教科書内容に関するディスカッションの様子
また、教育省には、ケネマ県のすべての中学校・高校のリストの提供をいただいています。
教育省での教科書内容に関するディスカッションの様子
いよいよ、性教育プログラム当日の様子です。
※学校名は非公開情報となります。
事務局にて、性教育で使用する教科書の準備風景
コンドームを生徒に1個ずつ配布できるよう準備
性教育プログラム実施を受け入れ、調整をしてくれた学校の先生たち
性教育プログラム実施前の、事前アンケート実施の様子
性教育プログラムの実施前と実施後に、生徒30名に対してアンケート調査を実施しています。
男子生徒15名/女子生徒15名に匿名でのアンケート回答をしてもらいます。
アンケートでは、「以前に性交渉を経験したことがありますか?」や「コンドームが避妊具であることを知っていますか?」等、非常にセンシティブな内容を含むため、生徒一人一人が十分にスペースを保った上で、回答してもらいます。
性教育の授業実施後には、裏面のアンケートの回答をしてもらい、匿名性を保ったまま、性教育プログラムの理解度を測定しています。
性教育プログラムの様子です。この日はテレビ取材もあり、生徒の皆さんは緊張している様子でした。
●リプロダクティブヘルス・ライツ
●生理・妊娠の仕組み
●避妊具の使用方法
●性犯罪と刑罰
等について、アラジの現地スタッフがそれぞれの項目ごとに担当します。
積極的に手をあげ、自分の意見を回答する生徒たちの協力のもと、毎回インタラクティブに授業が展開していきます。
さらに教科書改訂へ…
今回の出張中に、地元のいくつかの薬局での調査を経て、緊急避妊薬とコンドームの値段を教科書につけ加えました。
緊急避妊薬の値段調査の様子
実際に売られている緊急避妊薬
シエラレオネでは、中絶は完全に禁止されていますが、避妊については認められており、緊急避妊薬は薬局に行けば約100円(10リオン~15リオン)で手に入ります。
予期せぬ妊娠を防ぐため、避妊注射(Depo)や、性感染症を防ぐためコンドームの着用を推奨し、女子の教育を受け続ける「権利」についても正しい理解を促しています。
皆さまのご支援をお待ちしております!
このように、私たちアラジが事務所を置く、ケネマ県の様々なステークホルダーを巻き込み、現在子どもたちの就学を大きく妨げている「若年妊娠」の根本解決に向けて、性教育プログラムを実施しています。
今年は約10000人への実施に向けて、準備を進めており、24年度の活動で累計約3万人に私たちの教科書を利用した性教育プログラムを提供予定です。
このような活動は、皆さまのご寄付に支えられて実現しております。
今後も皆さまの温かいご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
(投稿)代表理事
下里夢美