こんにちは。
いつもアラジを応援・ご支援いただいている皆様、誠にありがとうございます。アラジ代表理事の下里夢美です。

2025年2月12日~2月28日にまでの16日間、私たちが事務所を構え活動するシエラレオネ共和国へ9度目の出張に行ってまいりました。3月1日から開始のラマダンを避ける形での渡航となりました。

17歳の時に、テレビでシエラレオネの貧困について知り、衝撃を受けたことで国際協力活動を志し、一時も熱が冷めることがなく16年が立ちました。気が付けば9度目の渡航です。
今回は、「世界の人々のためのJICA基金」でのJICAとの協働プロジェクト実施がメインの渡航となりましたが、そのための管理業務に係る調整も含め、16日間の出張に行ってまいりました。
毎度、日本では考えられないハプニング満載の出張ログを、今回は詳しくHPやSNS等に掲載することにいたしました。
ぜひ、楽しんでご覧いただけますと幸いです。
また、皆様の支援がどのように使われているかも、合わせてご確認いただけますと幸いです。
2月12日(水)出張1日目
いよいよ9度目渡航がはじまります。成田空港を20時半に出発し、29時間かけてシエラレオネのルンギ国際空港に、一切の飛行機の遅延なく、ずべての預け荷物と一緒に入国することが目標です。これまでの経験上、飛行機の接続失敗は50%、預け荷物の紛失は30%の確率で起こっています。
無事の到着は神に祈るしかありません。
預け荷物は、23kgまでのスーツケースを2個預けられるということで、重さ調整するために、成田空港の計測器と格闘するハプニングもありましたが、無事にチェックイン。
成田空港を出発し、2時間ほどかけてまずは韓国に向かいます。なんと、機内食にキムチが出たので思わず撮影してしまいました。

まずは韓国インチョン空港に到着し、乗り降りする乗客を待ちますが、セキュリティチェックのために途中でおろされます。
セキュリティチェックを受け、トランスファーエリアを一周して、また同じ飛行機に戻り、出発すると、2度目の機内食でまた、キムチ!
おいしくいただきました。(みんなで食べれば怖くない)

2月13日(木)出張2日目
29時間かけてシエラレオネに行くというのは、実はかなりの最速ルートです。

成田→韓国→エチオピア→ガーナを経て、シエラレオネに到着するのですが、乗り換えは各1時間しかありません。毎回、着陸する前に、席を前の方に移動させてもらい、飛行機のドアが開いた瞬間に次の飛行機のゲートまで全力で走ります。だいたい次の行先を叫んでいる空港職員がいるので、優先順路を走り抜けなければなりません。笑 ここで悠長に歩いていると逆に「何をのんびりしてるんだ」と怒られます。笑
そのため、スムーズにいけば早く着きますが、一つでも遅れるとその先の飛行機はすべてロストしてしまいます。また、逆にちゃんとスムーズにいってしまうと、預け荷物が次の飛行機に間に合わず、スーツケースをロストしてしまう可能性が高くなります。そのため…西アフリカへ行くために最短で到着するルートはあまりお勧めせず、経由地で入国し、1泊しながら行くのがおすすめです…日本人はだいたいどこの国でもビザなしで入国できるので…(1か国乗り換えの飛行機ももちろんありますが、航空券代金だけで往復70万円くらいしてしまいます…!)
さて、無事に、飛行機の遅延はなく、シエラレオネ「ルンギ国際空港」に辿り着きました。嫌な予感は的中し、個人用のスーツケースを紛失してしまいました。「エチオピアにあるかもしれない」ということのようです。前は、アメリカに行った人と交換されてしまっていたので、取り戻すのに1週間かかりましたが、明日無事につきますように…。仕事用スーツケースは幸い届いていたので、仕事はできます!逆だったら、好きな国にただ旅行に来ただけになってしまうところでした…。
ルンギ国際空港は、首都フリータウンとなんと10km以上の海で隔てられており、時たま「世界で一番不憫な国際空港」と言われることも…。昨年に新設されたばかりの新しい空港で、西アフリカ初のすべての電力をソーラーパネルファームからまかなうエコな空港です。(ちなみに空港を上からみると飛行機の形をしています)
首都フリータウンまで行くために、シーバードという船(45ドル)に乗らなければなりません。(もしくはシーバードか、上の地図のようなタグリン乗り場からのフェリーを利用)

持っているドル札を両替。現在、1ドル23リオン~24リオンまで、リオン安が進んでおりました。(2016年最初の渡航人には、1ドルは6リオンでした)
シーコーチのチケットを無事購入。(シエラレオネでは日本円は両替できず、100ドル札以外の50ドルや20ドルは両替レートが悪くなるので、注意です!)
そして、荒れ狂う海を越えて、首都フリータウンへ!
長時間のフライトで寝不足な中、船酔いすると大変です。波と一緒に体を上下に動かすと船酔いを回避できます。私は船で一緒になった方にいつも教えているのですが!私以外の人はかなり船酔いで苦しんでいました…。

シーコーチの首都側のターミナルで我らが現地スタッフピディーアが車で迎えにきてくれました。

この日は、個人用スーツケースがなかったために、到着したホテルで石鹸1個で過ごすことに…涙

次回からは、手荷物に1泊耐えられる分の着替えやシャンプー類は入れておきたいなと反省しました!
2月14日(金)出張3日目
出張3日目は、首都フリータウンで業務準備です。

業務用の携帯通話と仕事用Wi-Fiの設定をするために、街に向かいました。
個人用iPhoneにSIMが入らないために、Orangeという携帯会社でポータブルwifi1か月使い放題を契約しています。(ポータブルWi-Fiは壊れやすく、こちらは現地オフィスのものとあわせると7台目です)

値段は、通信速度10Mbpsで1350Nle(約9,300円)ポータブルWi-Fi本体の値段は6,000円程度です。
日本ではだいたい通信速度80Mbps~200Mbpsが常時くらいで、1か月使い放題の値段は約半額ですね。
インターネットの利用料というものは後進国になればなるほど割り高に比例するそうです。
ここでもアフリカで活動することの厳しさを実感します。
その後、今回の出張の目的であるJICAとの協働プロジェクト実施のため、JICAフリータウンオフィスに訪問しました。今回、私たちが実施する中高生への性教育について、オフィスを構えるケネマ県だけではなく、周辺3県にも活動を拡大するために、JICAと協働で事業を実施させていただきます。

安全対策ブリーフィングを受け、活動の根幹となるアドバイスを多々いただき、大変有意義な時間になりました。
夕方は、空港職員より「君のスーツケースが届いているよ!」との電話があったため、そのままシーバードターミナルへ。船着き場で、船を待つも、一向にスーツケースはやってきません。

「次の船で来る」という空港職員からの電話を信じ待つものの、次の船でもそのまた次の船でも、スーツケースは到着することはなく、結局、4時間外で待つことになりました。
ここでイライラしない方法は、「パソコンを開き仕事をしまくる!」ことです。
シエラレオネ出張後に控えていた、筑波出張のホテルの手配や大量にある日本側の仕事を全て終わらせることができたために、無駄な時間を過ごした気にはならず、やらなきゃと思っていた仕事がはかどりました!たまには、海を眺めながら仕事をするのもいいもんですね。

2月15日(土)出張4日目

出張4日目。朝ごはんを食べた後に、首都フリータウンにオフィスを構える、会計事務所の会計士マムドさん(写真右)とホテルでミーティングしました。
私たちのオフィスはケネマ県という首都から300km離れたほぼリベリア共和国側にあるために、行政登録等の手続きでしょっちゅう首都まで来ることはできません。シエラレオネ共和国では、現地法人JaSiLe Foundationを構えておりますが、行政手続きや税務処理のすべてを担う会計士はフリータウンにいるために大変ありがたいのです。
この日のミーティングでは…
- NGOライセンスの次回の更新について(SLANGO/MoPED/City Counsil等での更新が必要)
- 車両保険/スタッフ2名の健康保険/オフィスの火災保険等について確認
- スタッフ給与を電子マネーで支払うため、10代シングルマザー復学支援の電子マネー送金で利用するAfrimoney口座への入金を、口座間送金するために、新しい銀行口座を開設予定。そのための書類一覧を一緒に確認
等の話し合いを行いました。
ちょうど前日がバレンタインのために、会計士の奥さんにバレンタインギフトとして日本から買ってきたピアスをプレゼントしました!(皆さんイスラム教なので、必ずピアス穴が開いている)
その後は、街に移動し、シエラレオネの伝統手法で染められたGara布を調達しに行きました。
私たちアラジは、シエラレオネの伝統布Garaをネットショップ等で販売し、シエラレオネの魅力ある商品を販売することで、シエラレオネの認知を高めたり、収益で支援活動を推進したり等の活動もしています。Gara布は、中国産のアフリカ布に埋もれて、見つけるのも困難なくらいですが、シエラレオネの貴重な無形文化遺産です。

首都フリータウンの布市場は、マラマ・トーマス・ストリートにあります。
行きつけのGaraのお店のおば様が、布の生産地に妹が住んでいるそうで、行き方を教えてくれました。

その後に、布の仕立て屋イブラヒムさんのショップへ

今回は、シルクのGara布で男性用の短パンを注文し、次回の大量注文のテストをすることになっています。
ここで、私たちは、長年の付き合いであるテーラーイブラヒムさんに、あまりにも時間がなく、明日の早朝にケネマに出発するために、明日までに仕上げて欲しい!と無理なお願いをしました。(本来はスーツケースが届いていれば昨日に発注できている予定でした…)
イブラヒムさんは、明日までに仕上げると約束してくれ、さらに私に対して、値段は指定できないよ、いくらで作りたいか言ってみて。と値段の交渉すらさせてくれません。(きちんと公正な仕立て代金をお支払いしました)
この日イブラヒムさんは、朝方までずっとお店で作業し、その場で寝て私たちの到着を待っていてくれました。

ケネマ県に向かう道中、壮大なマングローブの景色を眺めながら、テーラーイブラヒムさんのような、こんなにも愛情深いシエラレオネの人々に大きく支えられて、私たちは活動できていることを実感しました。
イブラヒムさんがこの世からいなくなるときには、日本から飛行機にのって、彼のお葬式に参加したい。
29時間あれば、きっと間に合うはず。
次回、いよいよ…
ケネマ県での活動スタート!
(投稿)下里夢美