(2021年12月27日)ひとり親家庭・里親家庭への奨学金給付支援プログラムの活動報告

2021年も多くのサポーターの皆さまに支えられ、「シエラレオネ奨学金給付支援」の活動を継続させていただきました。以下に、4月~12月末までの、奨学金給付支援の活動報告をまとめさせていただいております。

シエラレオネ奨学金給付支援

1.事業概要

(左)サポートを受けるひとり親家庭の男の子(右)NPO法人アラジ現地スタッフ

NPO法人アラジは、シエラレオネ共和国において、自然災害・不慮の事故・病気・失業などを原因とする保護者の金銭的貧困理由により、義務教育(小学校1年生〜中学校3年生まで)を完了することの困難な、片親家庭・里親家庭の子どもたちに対して、毎月定額の奨学金給付支援を行っています。

今年度は、シエラレオネ首都フリータウンで15名、ケネマ県で5名の合わせて20名に毎月のサポートを届けながら、主には「プログラムの実施体制強化」に努めました。(プログラム開始から述べ27名にサポートを届けています)

保護者には現金の受け取り証明として毎月写真撮影にご協力いただいています。

サポートを届ける子どもは、都市部の公立小学校5校と連携し、慎重にヒアリングを重ね、家庭の経済状況・家族構成・居住環境・毎月の児童労働時間などをもとに、決定していきます。

毎月の返済不要の給付金は、保護者によって子どもの生活費・教育費・医療費すべてに使用されます。

毎月、子どもたちの健康状態や成績表、家庭環境等をチェックする他、毎月の現金給付とは別に子どもたちの進学準備金や、急な事故・入院や手術を伴う病気の際の緊急時に使用できる緊急支援金制度を設けています。

※本プロジェクト紹介の際に、WEBページや活動報告書等で利用する情報・写真は、子どもに許可を取って掲載しております。また子どもの個人情報保護のため、子どもの写真とストーリーを一緒に掲載する場合は、子どもの名前はカタカナ表記のファーストネームのみ使用します。

奨学金給付支援について詳しくはこちら

2.今年度更新した支援基準について

支援開始前の家庭訪問の様子

奨学金を給付する支援基準を家庭の経済状況の調査を踏まえて、変更いたしました。

変更内容は以下の3点です。

(1)奨学金支援の受入れ条件の「月に160時間以上の児童労働を行う子ども」の条件を「月に100時間」に緩和いたしました。 これにより、より多くの子どもがサポートを受けられる環境を整えてまいります。

(2)月100時間以上児童労働していない場合でも、家庭の月の固定支出が一定金額以下であれば、受け入れることができるようになりました。 これにより「障害をもつ働いていない子ども」でもサポートが受けられるようになりました。

(3)家庭の経済状況を「世帯月収」ではなく「月の固定費の世帯支出額と家族人数」で算出することになりました。 これにより、より正確な世帯の経済状況を把握する体制を整えてまいりました。

(4)NPO法人アラジで、「チャイルドセーフガーディングポリシー」の制定を行いました。これにより、子どもの個人情報・人権などにより留意しながら、活動を推進する体制を整えました。現地スタッフにも、子どもの保護や性的搾取に対する研修を行い、事業地ごとに、子どもの人権侵害、性的搾取が起った場合の緊急連絡先(各地域警察署のFamily Support Unit)を明記した、英語版チャイルドセーフガーディングポリシーの制定を行いました。

3.家庭の経済状況によるサポートの終了

家庭の詳細な経済状況の把握により、3名の子どもたちが、2021年12月の給付を最後に支援を終了いたしました。

4.ケネマ県の5名の子どもたちに支援開始

2021年、首都のフリータウンだけではなく、新たにケネマ県の5名の子どもたちの奨学金給付支援を開始しました。

今後も「金銭的貧困を理由に、困難な状況にいる子どもが、初等教育を家族の元で完了する」ことを目指し、より多くの子どもをサポートできる体制を整えていきます。

6.今後の活動計画

シエラレオネ奨学金給付支援においては、引き続き首都のフリータウン、ケネマ県の困難な状況にいる子どもたちの初等教育の完了に務めます。来年は「30名のひとり親家庭の子ども」にサポートを届けるべく、実施体制を整えてまいります。

産まれた環境に関わらず、継続した学びの機会を提供するべく、アラジはこれからも支援活動を継続していきます。

2022年も、皆さまの温かいご支援とお力添え、どうぞよろしくお願いいたします。

以上

(投稿)スタッフ 宮川琳